水くさい店

どんぐり

沼津駅の南口から徒歩1分にある「仲見世商店街」は古より沼津の中心的商店街でした。

そんな商店街も今では少子高齢化の波で若いお客様の姿がすっかり減ってしまいました。

いや、正確に言うと若者もいるにはいます。平均年齢3~4歳ですが。

筆者が幼少の頃には仲見世はキラキラ輝く文明の象徴、色鮮やかなお店と人々の賑わいが今も脳裏に焼きついています。

中学生になると好きな子と二人で仲見世近くの映画館で話題のラブロマンスを見ながらそっと手をつないでドキドキしたり、ちょっと奮発して丸井でショッピングしてクリスマスのプレゼントを渡したりしていました。妄想ですが。

 

そんな仲見世商店街の中で昔からその佇まいを変えずにあり続けてくれている店、それが本日ご紹介する「どんぐり」です。

筆者も中学生でどんぐりデビュー、それから高校時代も友人と学校帰りに立ち寄ってお茶漬けで腹を満たしていました。彼女は甘味に舌鼓を打っていました。妄想ですが。

 

それでは早速どんぐりに潜入してみましょう!

まずは入り口です。

 

【見よこの凜とした佇まい】

 

店内に入ると…うん。懐かしい匂いがしてきます。

入店するとまずは券売機でオーダーをチョイス。

先ほども書いた通りに学生時代はお茶漬けばかり食べていましたが、本日は新しいメニューにチャレンジということで本日のオーダーは!

おでん定食!

 

…おでん定食?

なんとなく謎の部分がありますが、取り急ぎ購入した食券を水に流します。

 

…水に流す?

 

そうなんです。

どんぐりは店内カウンター前に「流れるプール」があり、そこに食券を流すのです。

各席を東海道五十三次の宿場に見立て、そこでやりとりするのです。

 

ここまで読んで下さった方、とりあえずちんぷんかんぷんですよね?わかります。

筆者も果たしてどう説明したらいいやらと何度も書いては消してを繰り返しております。

しかし百聞は一見に如かず、ここで写真とともに店内を見てみましょう!

 

【合併はしなかったけど仲良し】

 

座席の前に大量の水が流れ、そこにありましたよ沼津宿。

そして目の前にあるプレートに食券を挟む!

【隠し切れない年季と風格】

 

このプレートに挟み、オーダー準備完了。

沼津在住の私はもちろん沼津宿をチョイス!

さぁ、私の夢や希望とともに進め!食券!

 

【旅立て!俺の分身よ!】

 

そして待つ事10分弱、本部からの指令が入ります!

 

【ごはん出来たわよ〜!】

 

ここまで出来れば、もうどんぐりはクリアに近いです。

念のため、店内の案内板も掲載しておきますね。

 

【厳しい鋼鉄の掟】

 

さぁお待ちかね、いよいよ「おでん定食」の登場です!

もはやシステムにとらわれて、おでん定食の事を忘れていませんでしたか?

それでは紹介します!

プリーズウェルカム!

おでん定食!

 

【つつましくも堂々たるどんぐりの紋章】

 

焦らしますね〜。

左下の謎の粉が緊張感を高めます…

パカッ!オープン!

 

【おでんとごはんキター!】

 

なんとこのおでん定食、かの有名な「静岡おでん」でした!
左下の粉はだし粉(干したイワシなどを削った粉)で、おでんにかけて食べるのが静岡流なんです。

 

さて、実食!

静岡おでんは基本的につゆ無しのスタイルなのでまさにお弁当にするにはピッタリ!

味もしっかり染み込んで、だし粉とのコンビネーションはまるで静岡が誇る南葛の翼くん岬くんのようです。

(注:南葛市は実在しません)

ごはんの上には醤油に浸した海苔が乗せてあり、昔ながらの懐かしい優しさに思わず箸が進みます。

おでんとごはんとの折り合いについてはさておき、どちらも美味しくてあっという間に食べ終えてしまいました!

 

さて、食べ終わった食器を流れるプールの桶に戻し、自分のテーブルを自分で拭いて終了。

 

お気付きですか?

ここまでの店員さんとのエンカウント率が0%なんです。

これなら独りごはんに緊張してしまうあなたも安心ですね。

 

流れる水の塩素の懐かしい匂いの中で、店員さんと会わないままで終わる名店。

まさに沼津が誇る「水くさい店」認定です!

 

 

静岡県沼津市大手町5-8-22

055-951-1777

営業時間 11:00〜19:00

水曜定休

PROFILE

Takashi Endo
Takashi Endo
ロックバンド「GOOFY'S HOLIDAY」のボーカル/ギタリスト。
1994年に結成後、全国のライブハウスを股にかけて活動中。
「インディー界一のツブシのきく男」「バンド界の激安グルメ王」「元気の国の王子様」「マスターオブ弾きたがり」など様々な異名を持つ。
バンド以外にも沼津市でMUSIC BAR「Quars」を経営したり「Tube Drive Records」という弱小レーベルをやったりとそこそこマルチに活躍、どれもまんべんなく儲かっていない。
愛する地元と地球をよりよくするため出来る範囲で健闘中。