ザ・歌謡祭!沼津OTO市場vol.3レポート 

月に一度、沼津ぐるめ街道にあるジャンボひものセンターで開催される音楽イベント「沼津OTO市場」。

「歌謡祭」と銘打たれた今回の出演アーティストは全員女子!Vol.1・2は硬派な男性バンドが中心だったので、どんなライブになるのか楽しみに来場された方も多かったのでは?

そして今回、初めての試みとしてキッズダンスチームのパフォーマンス・タイムがありました。

Ma.ri.ka Dance Studioからキッズチーム4組を含む5組がヒップホップダンスを披露。元気よく楽しそうに踊る子どもたちに大きな声援が飛んでいましたよ。

フードエリアはスナックやおつまみ系メニューが多数。夏らしく、かき氷やスムージーが子どもたちに人気でした。

いつもより子どもの人数が多い会場です…あちらこちらで楽しそうな声が聞こえます。

今回も出演のシンガーCANARYさんがオーナーを務めるセレクトショップ「ハタトハネ」。

会場内で大人気だったのがこのゲーム。「黒ひげ危機一髪」に似たルールで、ルーレットの出た目の数だけハンドルを回していき、ハズレに当たった人は顔に生クリームの直撃を受けるというもの。とってもシンプルなゲームなのに、なんでこんなに盛り上がるんでしょう?

あっという間に、「次は僕!」「次は私がやりたい!」と順番待ちの列(というか参加者?)ができていました。初めて会った子同士も多かったのに、きちんと譲り合ってみんなで仲良く楽しんでいたのが印象的でした。OTO市場に来場するご家族の、しつけ水準の高さに驚くばかりです…。

 

日も暮れかけてきた頃、ライブステージがスタート。

トップバッターはおなじみ“OTO市場の顔”、CANARY with NUMAZU ROCKERS。

レゲエのリズムにのって、狩野川の流れのようにゆったりとしたサウンドと、CANARYさんの伸びやかな歌声がホールに響き渡ります。

もちろん今回も、「ROOTS OF MY LIFE~沼津の歌~」を歌ってくれました。CANARYさんの沼津への想いが詰まったこの曲は、沼津っ子だけでなくみんなの心に染みる、ふるさとの歌に育っていくことでしょう。

 

次は東京からのゲスト、シンガーソングライターのqimygo(キミーゴ)さん。キーボードとリズムマシーンのみの、弾き語り仕様でのステージです。

レゲエをベースにしたポップなサウンドと、優しい眼差しを思わせる歌世界が魅力です。耳なじみが良く覚えやすいメロディと歌詞は、J-POPや歌謡曲的な香りも漂わせています。

会場にいる子どもたちに向けて、「まだレゲエとか分からないかもしれないけど、音楽が鳴ったら自然に体が動くような、そんな人に育ってほしいな」と、qimygoさん。

彼女は愛知県豊橋市出身で、小学生の時は岩手県盛岡市に住んでいたそうです。「故郷はひとつだけじゃなくてもいいと思うんです。盛岡市にいたときの懐かしい風や場所、懐かしい思いを歌にしました。懐かしいだけじゃなく、きれいな思い出だともっといいですよね」と、盛岡への想いを綴った「Hills of The Forest」を演奏。

途中、即興でこの会場の印象を織り込んで歌うというサプライズも。

子どもたちが故郷にきれいな思い出を残せるよう、私たちが大人が良い街にしていかなきゃなあ…そういえば、CANARYさんも故郷への想いを歌に込めていましたよね。場所は違っても故郷への想いは一緒。OTO市場のイベントが、故郷を愛する心を育てるきっかけになればいいですよね。

 

オリジナル曲「恋は桃色」「ROCK YOUR BABY」、これから音源にする予定の「エスケープ」などのほか、UAさんとワタナベイビーさんのコラボ曲「電話をするよ」、金延幸子さんの「青い魚」といったカバー曲も披露。「今度はバンドといっしょに来たい」と、再度の“来沼”を約束してくれました。

彼女の持つ柔らかな雰囲気とミルキーな歌声に、すっかり癒された1時間。外はちょうどよく、夜の帳(とばり)が下りてきました。

 

そして最後に登場するのは、なかの綾さん。彼女は昭和歌謡のカバーを中心に、オリジナル曲もCDやレコードでリリースしています。

2016年5月にリリースしたシングル「じゅうくはたち」のPVを、漫画家の大友克洋さんが手掛けたことでも話題になりました。

なかのさんの追っかけファンも駆けつけ、1曲目からボルテージが上がりっぱなし!会場に子どもがいることを気に掛けながらも(笑)、”昼顔”な大人の世界を歌い上げます。

「セカンドラブ」「ホテル」「チョットマッテクダサイ」「メモリーグラス」と、昭和を代表する名曲をゴージャスなラテンアレンジでカバー。

6月に発売したばかりのシングル「アサミのブルース」のB面「Stuff like that there」(映画『フォー・ザ・ボーイズ』のベッド・ミドラーによるカバーでも知られる曲)のカバーはホントにカッコよかった!彼女の歌唱力の高さ、心が震えます…!

 

ここでちょっとしたハプニング。

途中でカワイイ坊やがステージに乱入!

さすが百戦錬磨(⁉)の彼女。エレガントな身のこなしで、「大物になる!」としばし坊やをトークのネタに…。真のプロフェッショナルのステージさばきを目撃した瞬間でした。なかのさん、大物はアンタやで…!

坊や、この出来事を一生忘れるんじゃないぞ…(無理難題)

 

続いて、クレイジーケンバンドの横山剣さんとのデュエット「別れても好きな人」を会場のお客様とデュエット(みんな歌えているところを見ると、会場にいるお客様の年齢層の高さが伺えますね…)。

さらに「恋に落ちて~Fall in Love~」「さよならイエスタデイ」と、80年代に思い出を置いてきたお客様なら、誰もが感涙するナンバーが続きます。

お客様とビールで乾杯したり…

お客様とダンスを踊ったり…

フリーダムというか何というか、なかのさんもお客様たちも心から音楽を楽しんでいて、会場は今まで以上の熱気に包まれていました。沼津民って、こんなにラテン系だったかしら…?恥ずかしがり屋の多い沼津民のハートを開放してしまうなんて、なかのさんの歌の力、ハンパないです。

 

OTO市場Vol.1~3を通して見て気づいたのですが、来てくれたアーティストのみなさんが、MCで口々に「みんなあったかい」「お客さんがみんなで盛り上げてくれる」と言ってくれるんです。その場にいれば、リップサービスでも何でもなく、自然に言ってくれているのがわかります。

毎回違った形で音楽のマジックを感じることができるOTO市場。お客様自体がライブの一部となって、いっしょに楽しんで会場の雰囲気を作り上げる…OTO市場はそんな新しいライブのありかた、楽しみ方ができる場所だと感じました。

次回の開催は8月20日(日)。今度は午前中から開催する、夏祭りスタイルのイベントになるそうですよ。ジャンボひものセンターから始まる、新たな伝説を見逃さないように!

 

PROFILE

KobayashiNoriko
KobayashiNoriko
伊豆在住フリーライター/伊豆グルメ研究家。

駿東郡清水町出身。チャリンコで沼津市の某高校に通っていました。
映画鑑賞やバンギャ活動ばかりにうつつを抜かし、落第ギリギリで高校を卒業。その年に上京し、映画雑誌編集部、某ロックバンド事務所での丁稚奉公、寿司屋でのバイト、音楽系雑誌編集プロダクションの編集者などを経てUターン帰郷。フリーランスとして地元新聞社の書籍や雑誌などに取材・執筆・撮影で楽しく携わる。現在はWebサイトや雑誌へ記事・エッセイを楽しく寄稿しております。
学生時代がダメでも、好きなことをやり続けていれば人生なんとかなります、たぶん。でもお金は儲からないです。

昭和レトロ、昭和歌謡、ニチアサを中心とした特撮、インダストリアル(音楽の方)などに対して食指が動きます。