戦国時代を体感しよう!「長浜城北条水軍まつり」

毎年5月に開催される長浜城北条水軍まつりは、2017年で3回目となります。
お祭りの会場は、「長浜会場」と「三津会場」にわかれていて、異なった内容の催しが開催されます。この祭りのメインイベントとも言える、火縄銃のデモンストレーションなどが行われる長浜会場へ行ってきました。

長浜城は、全国的にも珍しい「山城」の特徴を持つ水軍の城。
関東地方を治めていた北条氏が武田水軍との戦いに備えるために築かれたと考えられています。内浦湾の沖に淡島があるので攻められにくく、周りの水深が深いため、軍船が泊められる絶好の場所だったようです。

この場所が城として使われたのは、戦国時代の終わり天正7(1579)年~天正18(1590)年頃。豊臣秀吉の攻撃によって山中城(三島市)が落城するなどの影響で、長浜城も廃城になったのではないかと考えられています。

10時。いよいよ長浜城北条水軍まつりの開催です!


最初は沼津市長の挨拶から。ご自身では謙遜していましたけど、手作り甲冑、めっちゃ似合ってますよ!


「エイエイオー!」勇ましい掛け声でお祭りのスタートです!「妖怪ウォッチ」に出て来るブシニャンっぽいですね…。


地元小学生の元気いっぱいの踊りが華を添えます。


白山龍鳴会による法螺貝(ほらがい)のデモンストレーション。どうしても「タケちゃんマン」を連想してしまうのは、ひょうきん世代だからでしょうか。

 

次は北条水軍衆による甲冑演劇。

甲冑演劇だけに堅い内容かな?と思いきや、予想を裏切る展開が満載!ヒーローショーのノリで気楽に観ることができました。個性あふれる登場人物とユ―モアのある演出に、子どもたちも楽しそう。

武田軍の登場。ギャラリーの人数ものすごいです。


奥方様を間者から守る、くノ一。彼女の見事な闘いっぷりが今年のMVPでした。おだんごの恨みは怖いのである。


ご当地にとってはヒーロー…のはずの北条水軍・梶原景宗。この貫禄、ラスボスにしか見えません…あっ、でも嫌いじゃないわ(はあと)


みんな!うちわを振って北条水軍を応援してくれ!せーのっ!「がんばれーーーー!」(概ね本当です)

「待たれい!助太刀いたす!」うわっ!ここで鉄砲をブッ放す気か⁉︎と、思いきや水鉄砲でした☆お茶目!


みんなの応援のおかげで北条水軍が勝利しましたぞー!勝どきだ!エイエイオー!

原寸大の安宅船(軍船)をかたどった舞台の上で、みんながひとつになって勝利を呼び込みました!かつての北条水軍も、こうやってみんなで力を合わせて戦ったのかもしれませんね。わずか数分の演劇でしたが、会場は大いに沸いていました。甲冑演劇がメインイベントになる日は近いかも…!?

 

 

次は山の上にある曲輪内の会場へ向かいましょう。

険しい山道を登っていきます。あまりの険しさに「もっと登りやすく作らなかったのか」と文句を垂れる人もいるでしょうが、我慢してください。敵が攻め入りにくい、本来の形に忠実に作ってあるのです。耐えられないのは敵も同じ!家に帰るまでが戦国時代です!(何のこっちゃ)

きつい道を登りきると、きっと美しい景色が待っているはず……ホラ!


抜群の眺望!!!景色を見ながらお弁当を食べている親子もいました。

北側の対岸には千本松原や愛鷹山、さらに奥には富士山が見えるはず…です(この日は残念ながら見えませんでした)。また、北東側には淡島、その奥に沼津アルプスの山並を見ることができます。
長浜城は、北側にある内浦湾へ突き出た岬の地形を利用して作られています。内浦湾は海底が急に深くなっているので、昔から漁業が盛んでした。現在ではヨットがたくさん止まっていますね。


杭が打たれているところが、かつて建物のあった場所。

こう見てみると、山の上にあったのはずいぶん小さい建物だったんですね。当時は、弾薬や武器などを入れておく建物で、人が生活する場所ではなかったと言われています。
「もっと立派な城が建っていたんじゃないの?」と思われる方もいると思いますが、みなさんが想像するような立派な城が出てくるのはもっと後の時代になってから。城主は長浜城の裏手にある「重須(おもす)」という地区に居を構え、いざという時にこの城に登って来ていたようです。

さて、ついにメインイベントですよ!


いよいよ鉄砲隊のみなさんが入場。

「放て!」の号令で一斉に火ぶたが切られます。


ひええええ~!思ったより大きな音がしますね!

このあと、大筒も登場。雷鳴のように大きな音が内浦に響き渡ります。隊長さんでさえ発砲中は近づかないそうです(笑)。苦手な人は耳栓を持って行ったほうがいいかもしれません。


火縄銃についてのレクチャーもあります。

観客のみなさん、とても熱心に見入っていました。観客にはご年配の方が多かったですが、同じくらい小学生も多かったのが驚きでした。

 


法螺貝のワークショップ。吹き方を丁寧に教えてくれます。子ども達は少しコツを教えただけですぐにいい音を出していました。大人は立つ瀬なし…。


甲冑(かっちゅう)着付け体験。本物の甲冑と兜(かぶと)を身に着けることができました。


本物にこだわる大人の男達がこぞって試着していましたよ。

 


この渡し船で長浜会場と三津会場を移動することができます。

乗船料金はなんと無料!海上から長浜城を見る機会はなかなかありませんよ。シャトルバスも便利ですが、会場の移動は渡し船を推します!

 

このほかに、内浦正吟会による詩吟や小田原城馬廻衆による能の舞「北条」(写真)、日本舞踊「嗚呼小田原城」などの披露がありました。

日本の歴史文化に触れる機会が少なくなった昨今、地元の歴史資産にいろいろな形で触れることができる長浜会場の催しは必見です。長浜城は古から、土地の人たちが一丸となって守った城であると伝えられているそうです。地元の歴史を学ぶことによって、未来の沼津の街づくりに活かせるヒントが見つかるかもしれません。そんなことを考えるきっかけになったイベントでした。

歴史好きの方だけでなく家族連れでも楽しめるので、まだ見たことがない人はぜひ行ってみてください!

PROFILE

KobayashiNoriko
KobayashiNoriko
伊豆在住フリーライター/伊豆グルメ研究家。

駿東郡清水町出身。チャリンコで沼津市の某高校に通っていました。
映画鑑賞やバンギャ活動ばかりにうつつを抜かし、落第ギリギリで高校を卒業。その年に上京し、映画雑誌編集部、某ロックバンド事務所での丁稚奉公、寿司屋でのバイト、音楽系雑誌編集プロダクションの編集者などを経てUターン帰郷。フリーランスとして地元新聞社の書籍や雑誌などに取材・執筆・撮影で楽しく携わる。現在はWebサイトや雑誌へ記事・エッセイを楽しく寄稿しております。
学生時代がダメでも、好きなことをやり続けていれば人生なんとかなります、たぶん。でもお金は儲からないです。

昭和レトロ、昭和歌謡、ニチアサを中心とした特撮、インダストリアル(音楽の方)などに対して食指が動きます。